損害額・保険価額算定のプロフェッショナル。
公平公正な鑑定を行うことが職務です。

「損害鑑定人」(以下「鑑定人」とします)をご存じでしたか?
近年「なんでも○○団」というテレビ番組で「鑑定」という言葉は有名になりましたが、はたしてこの「鑑定」と鑑定人の「鑑定」は同じなのでしょうか?古美術商の鑑定は「真贋(本物か偽物か)鑑定」ですが、「鑑定人」は「損害保険等に関する損害額や保険価額の算定」、「保険契約者への保険金支払い額の算出」などの鑑定なのです。そして、「金額の算出」に留まらず、保険金が適正に迅速に支払われるよう、様々な支援を行います。

損害保険契約のある災害現場では必ず鑑定人が活動します。
阪神淡路大震災や東日本大震災でも長期にわたり現地で多くの鑑定人が活動しました。「事件は(中略)現場で起きているんだ」という刑事ドラマの有名な台詞がありますが、鑑定人も現場に駆けつけ、保険金算定に必要な情報を得て調査鑑定を行い損害保険会社に提供するのです。
そこで、鑑定人の役割や鑑定人に必要な能力等をご紹介いたします。

鑑定人の役割

支払保険金等を適正に算定する

損害発生後に保険会社等の要請により調査鑑定、損害額の算定を適正に行い、保険会社等が契約者に対し迅速に保険金や共済金の支払ができるようサポートします。これを「損害鑑定」といいます。

適正な保険価額を算定する

保険会社が保険契約を行う際に、事前に保険対象物の鑑定を行い、迅速な保険価額(そのものの価値)・保険金額を算定するものです。これを「評価鑑定」といいます。

中立・公平・公正性な仕事を行う

鑑定人は保険会社等の要請により鑑定に赴きますが、その調査鑑定が損害鑑定であっても評価鑑定であっても、保険会社等から委託を受けた場合でも、中立の立場で対象物そのものの価値を見いだし算定する仕事が鑑定人の仕事なのです。これが結果的に公平・公正な仕事につながっているのです。

鑑定人に必要な能力

保険約款の深い理解

損害を鑑定するに当たっては「契約されている保険で適正な保険金が支払われるのか」を保険約款で確認しなければなりません。しかし、保険会社により様々な種類の保険があり、損害の形態も様々ですので損害の状況により一つ一つを確認していかなければなりません。そのため、鑑定人は常に約款を深く理解し、その適用範囲を明確に理解する能力が求められているのです。

図面の作成と緻密な計算

鑑定人が行う現場調査は、図面(平面図、立面図、配置図など)作成、寸法、数量の記録が欠かせません。事務所に戻ってから、それらの記録を基に損害額の計算や支払保険金の計算をしますので、正確な図面をとる能力と綿密な計算ができる能力が必要となるのです。

論理的思考と的確な表現力

損害鑑定では、損害を受けた現場の鑑定調査を行い詳細な記録をとり、損害を復旧するために、材料、単価、数量、範囲などを的確に判断します。
それらを保険約款に照らし合わせて保険金支払いに際し、どの様な修理が可能で、どの様な修理が不可能かを保険契約者の方や被保険者の方に分かり易く説明をしなければなりません。そのため、論理的な思考と的確な表現力が必要とされるのです。

コミュニケーション能力

鑑定人は現場の鑑定調査だけをすれば良いというものではありません、保険会社の担当者、損害を受けた契約者・被保険者は勿論ですが、契約者の近所の方々、修理を請け負う修理業者など多くの方と原因調査などのために接する場面があります。
このような場合、いろいろな立場の方々から正確な情報を得るために、人と人とのコミュニケーション能力が必要となるのです。

体力

鑑定人には「知力・技能」は勿論必要ですが、被災地でも活動できる体力も必要となります。例えば、阪神大震災や東日本大震災における現地における損害調査での当初の移動手段は「徒歩」でしたし、高層マンションの損害調査では停電のためエレベーターが使えず、非常階段で高層階から下層階まで徒歩移動することもありました。工場の評価鑑定では広大な工場内(敷地)を一日中歩き回ることもあるのです。

継続して行う自己研鑽

新商品・約款改定など複雑な損害保険において、その職務を遂行するための知識や技術はどんどん更新され、改良されていきます。また、職業人としての知識欲は限度なく吸収されるべきと考えます。しかし、何もしないでいれば古い情報や時代遅れの技術しか使えなくなります。つまり、常に勉強し新しい知識・技術を吸収するための自己研鑽や学習に対して積極的に取り組む意欲が必要となるのです。

秘密を守る

損害鑑定では事故後(損害発生後)の現場に足を踏み入れることとなりますが、大きな事故、災害の場合は警察や消防の調査が優先されますので鑑定人はそれらの調査終了を待つことになります。調査が終了しても多くの場合、一般の方は立入禁止の場合がありますが、鑑定人は保険調査の名目で現場立入を許可されることがあります。また、評価鑑定の現場では、これから稼働する最新鋭の工場設備やシステムを見る機会もあります。これらの入手した情報は秘密として守れる能力が求められるのです。
鑑定人は保険会社や保険会社のお客さまとの信頼関係があるからこそ、その場に立ち入ることができるのです。

使命感

損害(評価)の現場は必ずしも居住地や勤務先の近くで発生するとは限りません。台風や局地的豪雨などは全国各地で発生し、地震などは「いつ、どこで発生するか」すら分からないのです。いざ災害が発生すると、災害の現場まで辿り着くことが困難になります。しかし、現地では道路の寸断や水道・電気・ガス等のライフラインの寸断により不便な生活を余儀なくされている方々がいます。鑑定人はそのような災害の現場であっても現地に調査に入り、「保険契約者の皆さまへの保険金の迅速な支払いを行う」という使命感をもって仕事に取り組むことが必要なのです。

仕事のバランス管理

鑑定人の仕事は、「現場調査」と帰社後の「事務仕事」があり、現場で体を動かし、事務所内でパソコンと向かい合うという両方の仕事を行うことで成り立っています。 現場調査ばかり、事務仕事ばかりということの無いよう、仕事のバランス管理能力が必要です。

いかがでしたか?おおよそ鑑定人の仕事というものが理解いただけたでしょうか?
鑑定人に興味のある方、鑑定人として働きたい方は、会員鑑定事務所に是非問合わせてみてはいかがですか?

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